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2017.11.01 11月18日(土曜日)は、第12回豊徳祭です!
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2017.10.05 ☆☆☆第12回豊徳祭☆☆☆ 平成29年11月18日(土)
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2016.09.01 新防犯マニュアル 安心・安全のために
新・防犯マニュアル
~不審者の侵入防止と利用者の安全確保のために~
平成28年9月 策定
社会福祉法人豊徳会
デイサポートみろく
目次
第1章 日常における事業所の安全管理について・・・・・・・・・2~
第2章 不審者が侵入したときの対応・・・・・・・・・・・・・・
第3章 心のケア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4章 家族、地域、関係機関との連携強化・・・・・・・・・・・
第1章 日常における事業所の安全管理について
~不審者の侵入防止を目指して~
1 基本的考え方
障害福祉サービスにおいては、これまで火災や自然災害の備えについては一定の基準が設けられ、安全性に留意されてきたところだが、殊に防犯という観点ではあまり注目されていなかった。
社会福祉法人豊徳会では、『障がい者の支援を通して共に生きる』という理念にのっとり、障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重しあいながら、地域の中で共に生活していける安全・安心な社会の実現を目指すことを目的として活動しているため、閉鎖的な防犯体制を引くことは難しいと思われる。
本マニュアル(案)は、デイサポートみろく(以下事業所という)の安全管理を進めていく上での基本事項について列記したものである。ただし社会福祉法人豊徳会には、各種サービス形態の違いがあり、それぞれに応じた特質がある。したがって、すべての同法人内事業所において、画一的な一律の安全管理方法をとることについてはなじまない所があるのは当然である。しかし、安全管理についての基本的部分については共通のものであると考える。
2 管理上のポイント
これまで社会福祉法人は「活動している昼間の時間帯に、不審者が侵入してくるのを防ぐ」という観点では作られてこなかった。また、地域との連携や開放を推進するために、必然的に利用形態が複雑になり、様々な目的を持った多くの人々が訪れる、いわば事業所は防犯上の弱点の多い施設と言える。
セキュリティの向上と利便性は相反する部分も多いが、事業所の安全性の確保に向けた管理を行う事が求められている。
(1) 事業所の管理
ア 事業所の施錠管理
○ 周囲が一定の高さの囲障などで囲まれている事で、来所者の出入りを管理することにより不審者侵入防止に効果があると考えられる場合は、施錠による管理を行う。
○ 館内施錠は、地震や火災等、非常時の避難も考慮に入れて検討すること。館内施錠が困難もしくは適さない場合は、それを補う管理を行う事。(職員などにより、不審者の侵入が想定される場所等のパトロールを行なう等)
イ その他の場所の施錠
○ 倉庫や使用頻度の低い部屋等は施錠し、定期的に点検すること。
(2) 来所者への案内表示
ア 受付の案内表示をすること。
○ 初めての来所者は事業所のどちら側へ行ったらよいかわからないため、わかりやすく表示する。
イ 来所者に関する情報の共有
○ 来所者の予定について、朝礼などを使い、職員間に情報提供し、対応する予定の職員の確認を行う。
(3)施設の点検整備
ア 囲障、窓、施設設備、外灯等の設備について日常的に点検し、必要な補修を行う事。
イ 死角の原因となる障害物の排除などにより、敷地内の視界をできる限り確保すること。(廃材の片付け・草刈り・樹木の剪定等)
3 日常の対応
(1)安全管理に対する事業所内の責任体制、執行体制の確立
ア 所長、副所長、課長、主任、防犯・防災担当等、安全管理に対する責任体制を整理し、平常時、緊急時それぞれの役割分担を明確にしておくこと。
イ 職員が安全管理について共通の認識を持ち、それぞれの役割の中で相互に協力する体制を作ること。
特に緊急時の役割については、一部の職員が不在でも機能するように、複数で担当するなどの工夫をすること。
ウ 複数の事業所が併設されている場合については、それぞれの事業所の実情を共通理解した上で、相互に安全管理を進めること。
(2)いわいる「空白の時間」対策について
ア 利用者の来所前に、事業所の安全確認を行った上で、利用者を入れること。
イ 来所時に、職員が利用者を出迎え、安全見守りを行うこと。
ウ 事業所の開錠の時刻を、利用者や家族に対して明確に周知すること。
(3) 受付
どのような場所でも、受付で身元を明らかにし、要件と訪問先を述べること
は社会常識である。「受付で手続きをする必要があること」を示すことは、事業所で安全管理が行われていることを示すことでもある、
ア 玄関で、インターホンその他の方法により、来所者の確認を行うこと。
イ 事務所に受付場所を設定し、受付簿へ必要事項の記載を行わせるなど来所
者のチェックを行うこと。
ウ 来所者に名札を着用させるなど、受付を通過したものであるか否かが判別できるようにすること。
(できればバッジなどよりも、首からかける名札のようなものの方が、後ろから見てもひもで着用の有無を識別できることから、好ましい)
エ 受付簿への退所時間の記入や、名札の確実な回収など、事業所に滞在している人の把握を徹底すること。
オ 来所目的がはっきりしていない、態度の不審な点がある、大きな声でクレームをつける等の場合の対応方法について、職員間であらかじめ決めておくこと。
(応対場所、複数人で対応する必要がある場合の対処方法等)
カ 外部からの人の立ち入りが出来る場所と立ち入りを禁じる場所の区分けをすること。
(4) 声掛け
日常的に行われる来所者に対する「声掛け」が、不審者発見のための、最も有効かつ基本的な対応である。
ア 職員は来所者に対して、挨拶や声掛けを積極的に行い、用件確認や行き先案内を習慣化すること。
イ 来所者に声掛けをする場合、次の点に留意すること。
・ 用件がこたえられるか、また、正当なものか。
・ 家族なら、利用者のフルネーム、誕生日が答えられるか。
・ 職員に用事がある場合は、氏名、担当活動班等が答えられるか。
ウ 職員は、特に名札等を着用していない物に対して用件を確認し、受付が未了であれば受付に立ち寄ること、名札を着用することについて指示すること。
(5) 見守り、パトロール
ア 職員により、必要に応じて事業所内巡視を行うこと。
イ 活動と活動の間の休憩時間や昼休みにおいて、職員は活動室、食堂やその周辺で過ごすようにすること。
(利用者との距離が近づき、相談が受けやすくなる、様子が観察できる等の効果が期待できると同時に、不測の事態が生じた時の対応にも即応が可能となる)
ウ 必要に応じて、事業所の巡視を行うこと。
(特に、駐車場入り口付近や外周に、人が乗った自動車が長時間駐車している場合などに注意する)
(6) 防犯関係設備、備品の活用
ア 携帯電話については、常に職員が携帯するなど、非常時に迅速かつ効果的に使用できるようにすること。
イ 防犯カメラを設置し、モニターを意識的に確認すること。
何らかの変化があった場合は見逃さず、対応すること。
ウ 割れやすい窓ガラスへはウィンドウフィルムを窓ガラスの前面に貼り付けすること。
エ 夜間等、人の出入りを感知するセンサー付きライトの設置等、照明環境の整備を行うこと。
第2章 不審者が侵入したときの対応
不審者の侵入には様々なケースが考えられ、対応方法もケース・バイ・ケー
スとならざるを得ない。ここでは、基本的事項と配慮するポイントを示す。
1 基本的事項
(1)利用者の安全確保を最優先する。
利用者が危機にさらされている場合は、当該危機から脱出させることを第一
に考える。また、利用者の安全確保のために、そのままの場所にとどめるほう
が良いのか、別の場所に避難すべきか判断し、即応する。
別の場所に避難すべきと判断した場合は、近隣施設に避難し、協力を仰
ぐ。
(2)職員自身の安全を守る。
利用者の安全確保に加え、職員自身の身の安全の確保を行うことは当然であ
る。ここで特に重要となることは、一人で対応するのではなく、複数の職員で
対応することである。
様々な場面を想定したうえで、どのように他の職員と連携が取れるかを検討
し、職員間で共通の認識を持つ必要がある。
(3)一刻も早く警察に連絡する
不審者の身柄の拘束は警察に委ねる。少しでも危険が想定される場合は、一
刻も早く警察(消防)に連絡すること。
結果的に、通報するまでもないような案件であったという場合もあるが、そ
れを心配して通報が遅れるという事が無いようにする。(空振りであっても構わ
ない)
また、危機的な混乱した状況の中では、警察や消防に連絡したのかどうか不
明な場合もありうる。「たぶん連絡しただろう」ではなく、「重複しても構わな
い」と心掛けること。
具体的な対応については、事業所で様々なケースを想定したシュミレーショ
ンを行い、それに応じた訓練を実施することが重要である。
またその際には、所轄の警察署などの専門機関の協力を得て行うことも効果
的である。
2 事業所における不審者への緊急対応の例
※対応例は別記
3 チェックと対応
■ チェック1 不審者かどうか
不審者かどうかのポイントは、前章で触れたように、「受付」時の対応、「声掛け」した際の対応で判断する。
なお、声を掛ける前に不審を感じるような場合は一人で対応せず、複数の職員で対応すること。さらに危険を感じるような場合にあっては、警察への通報を行う。
□ 対応1 退去を求める
(1) 不審者侵入時の職員の役割分担に従い、他の職員に連絡し、協力を求め
る。その際、不審者に知られないようなサインや暗号を決めておく。場合によっては、緊急連絡網を使用し、全職員に知らせる。
(日頃から、いくつかの状況を想定した訓練を実施しておく。)
(2) 言葉や相手の態度に注意しながら、丁寧に退去するよう説得する。
その際、相手に近寄りすぎない。(最低1mから1.5メートルは離れること)
(3)次のような場合は、不審者として警察に通報する。
○ 受付を無視し、無理に立ち寄ろうとする。
○ 退去の説得に応じようとしない。
○ 暴力的な言動をする。
(4)一旦退去しても、再び侵入する可能性もあるので、敷地外に退去したことを見届ける。
(5)再度侵入したり、事業所周辺に居続けたりする可能性もあるので、しばらくの間、対応した職員はその場に残って様子をみる。
(6)警察に報告し、地域のパトロールの強化や近隣の事業所等への情報提供をする。
■ チェック2 危害を加える恐れはないか
(1)所持品に注意する
○ 凶器を所持していたら、直ちに警察へ通報する。
○ 不審者が興奮しないよう、丁寧に落ち着いて対応し、警察が到着するのを待つ。
○ 凶器を隠し持っている場合もあるので、手の動きに注意する。
(2)次のような言動がないか注意する。
○ 暴力を行使しようとする。
○ 静止を聞かず、興奮状態である。
○ 言動が不自然であったり、要領を得ないことを言ったりしている。
□ 対応2 隔離・通報する
(1)別室に案内し、隔離する。
・別室(相談室等)に案内し、隔離する。
・不審者を先に奥へ案内し、対応者は身を守るため、後から入り口近くに位置し、ドアは開放しておく。対応は複数の職員で行う。
・警察への通報が必要な場合は、サインを決めておく。
(2)暴力行為抑止と退去の説明をする。
(3)警察に通報するとともに、職員に通知する。
周知に関しては、緊急連絡網を使い行う。
□ 対応3 利用者の安全を守る
(1)防御(暴力の抑止と被害の防止)する。
利用者から注意をそらせ、不審者を利用者に近づけないようにすることで、被害を防止しながら警察の到着を待つ。
○ 応援を求める。
・大きな声を出す。
・緊急連絡網を活用する。
○ 身近なもので不審者との距離をとり、移動を阻止する。
・机 ・椅子 ・消火器 ・傘
(2)利用者を掌握し、安全を守る。
○ 活動時間中は活動担当者が掌握し、安全を守る。
他の役割に移行する場合は、近くの職員に掌握・誘導を依頼する。
○ 活動以外の場合は、あらかじめ分担したものが担当場所で安全を守る。
○ 事業所外での諸活動時・来所退所時の連絡受領体制を確保する。
○ 事業所外での諸活動に際し、利用者の状況把握をする責任者を設定する。
(3)避難の誘導をする
○ 活動室等への侵入可能性が低いなど、緊急性が低い場合は、すぐ避難できるように利用者を活動室で待機させる。
○ 活動室等への侵入の恐れがある場合には、利用者と不審者の間に職員が入り、両者を引き離し、利用者を職員室など職員のいる場所に避難させる。
○ 避難の指示がある場合はそれに従う。活動室等に不審者が侵入した場合には、指示がなくとも利用者が避難できるよう訓練しておく。
■ チェック3 負傷者はいるか
不審者の侵入は、活動中だけではなく、休み時間などを含めた活動時間帯に
発生する恐れがあり、それぞれの場合に応じて、負傷者の有無などの情報を
収集できる体制を整えておく必要がある。
(1)負傷者がいるかどうか把握する。
○ 活動中は活動担当者が把握して報告する。
○ 休み時間などは、職員があらかじめ決めておいた担当の場所に急行し、速やかに負傷者の有無を確認する。
○ 周辺の地域の民家などの避難していないか、担当者が周辺を回るなどして確認する。
○ 全員を集合させ、怪我をしていないか把握する。事業所内外、事業所周辺を担当者が巡視する。
(2)情報を集約する。
○ 職員室などで、情報を集約する場所、担当者を決めておく。
○ 安否確認の総括責任者を決めておき、確認を進める。
□ 対応4 応急手当などをする
(1)負傷者がいる場合には、速やかに応急手当の実施、救急車の要請を行う。
(2)救急搬送する場合は、職員が付き添う
□ 対応5 事後の対応や措置をする
(1)あらかじめ定められた役割分担に従い、事後の対応・措置を行う。
(2)情報を収集し、事件・事故の概要等について把握・整理し、提供する。
特に報道機関との対応については、窓口を管理職に一本化し、正確な情報を伝えていく事が必要である。
(3)速やかに家族等へ連絡や説明を行う。
・ 客観的な事実
・ 職員の取った対応
・ その際の利用者の様子と、今後予想される利用者たちの状況
・ 事業所再開に向けての対応
・ 家族や地域への依頼
等について、プライバシーの保護にも配慮しながら伝え、家族や地域からの質問・要望については傾聴に努める。
(4)事件・事故後の連絡、情報収集等のための通信方法を複数確保しておく。
問い合わせが殺到し、電話が使用できなることも予想される。携帯電話等の利用も考える。
(5)侵入事件が発生し、不審者が保護・逮捕され、あるいは事業所外に退去した場合でも、利用者に不安や恐怖が残っている場合は、帰宅時に職員が引率するなど、事業所で家族に引き継ぐことが必要である。また、家族に引率や巡回の協力を依頼するなどの対応も必要である。
また、不審者が退去もしくは逃亡した場合などは、近隣の事業所に情報提供を行うこと。
(7) 事業再開の準備及び事件・事故の再発防止対策を実施する。
○ 利用者、職員の心のケア
○ 事業所の安全管理体制の再構築
マニュアルや役割分担、来所者の対応などの見直し・改善が必要である。
○ 施設、設備の点検と補修
利用者に事件を連想させる箇所や、事件を引き起こす契機となったような施設・設備については、早急な改善を図ることも必要である。
○ 緊急家族会等の開催
緊急家族会等を開催し、今後の安全管理について方針を説明するとともに、家族や地域との連携・協力について理解を求めることが必要である。
4 記録の重要性
不審者の侵入や通所中の事件・事故などによる緊急事態が発生した場合に、
その状況や対応したこと及び、その結果等を記録することは、適切な対応、家
族や関係機関等と連携を図るうえで、極めて重要な事である。
(1)記録の目的
○ 事実を客観的に把握し、対応、再発防止対策立案、事後評価等の基礎資料とする。
○ 連絡、報告の基礎資料とする。
○ 事業所内、関係機関との情報共有を図る。
(2)記録の内容
○ 不審者の状況(人数、場所、凶器、何をしていた等)
○ 利用者の状況(負傷者の状況、避難の状況等)
○ 施設設備等の破損状況
○ 職員等の対応状況(防御、避難誘導、応急手当等)
○ 負傷した職員等の状況(だれが、どんな、応急手当等)
○ 関係機関への連絡、支援状況(警察、消防、病院、県・市町村、家族等)
(3)記録に当たっての配慮事項
○ 時系列で記録
○ 正確な内容(事実と推察は区別しておく。不明なものは、「?」を記入。)
○ 箇条書きで簡潔な文
○ 重要な箇所にはアンダーライン
○ 情報源を備考に明記
(4)その他
○ 記録者を決め、情報収集に努め、その都度状況を記録
○ 状況が明瞭に把握できる記録用紙の工夫
○ 記録の補助手段として、ICレコーダー等の有効な活用
○ 緊急事態が発生したときに、一か所で記録を集中管理
○ プライバシーに配慮
5 緊急事態に備えた役割分担
【不審者侵入時の役割分担】
① 全体指揮・外部との対応 所長、副所長
② 家族等への連絡 課長支援員、主任支援員
③ 避難誘導・安全確保 各活動班リーダー、女性支援員
④ 不審者への対応 発見者、男性支援員
⑤ 応急手当・医療関係等 看護師
⑥ 電話対応、記録 事務員
⑦ 安否確認 (全体掌握)
副所長
(事業所内外巡回)
男性支援員
※分担は必ず複数名で行い、不在の場合であっても対応できるように体制を整える。
※出張等で、管理職や担当者が不在であっても、機能するように役割を重複する。
※支援中にやむを得ない事情で担当職員不在の場合は、近くの職員が把握するよう、共通理解しておく。
※送迎時においては、③及び④を「現場に急行」に置き換える。
第3章 心のケア
「心のケア」は、事業所の管理下であるかどうかを問わず事件・事故が起きてしまった際
の、利用者、家族、そして職員への心理的な支援の総称である。
職員が日頃から、まさかの時には「心のケア」が必要だと認識している事が、早期支援に
つながる。身体的な怪我の大きさに注目が向き、つい後回しになりがちな「心のケア」で
あるが、心身両面のケアが利用者たちの心的外傷からの回復をより確かなものにすること
になる。また、常に利用者を中心とした心の健康について意識を高め、状況を把握してお
くことは、「心のケア」にとって重要な意義があり、「リスク回避(ハイリスクな利用者へ
の的確な支援による二次被害の防止)」の大きなよりどころになる。
1 基本的事項
(1)心のケアの意義
ア 心のケアとは、一般的には危機的事態に遭遇したために発生する心身の健康の様々な問題を予防すること、また、その回復を支援する活動の総称である。
イ 心のケアでは、急性ストレス反応に対応するなど、外傷後ストレス障害の発症を予防することが重要な課題となるが、危機的事態に遭遇した人々の様々なストレス反応や精神的混乱からの回復、喪失体験の克服や生活再建への心理的援助なども含まれる。
ウ 心理的支援は、人間が本来持つ治癒力・回復力を引き出すことに主眼がおかれ、身体的・精神的・生活的な問題の解決を支援し、肯定的な生活や人生を送れることを目指す。
(2)心のケアと事業所の役割
ア 災害等と同様に、自分が今まで経験しなかったような事件・事故の被害を体験した利用者にとって、事業所はそれまでの日常とのつながりを感じさせてくれる大切な場所であり、安心感・安全感を与えてくれる場所である。そのため、利用者が生活時間の多くを過ごす事業所の果たす役割は重要である。
イ 利用者が事件・事故後の辛く不安な時期を乗り越えるために、事業所の職員や家族、周囲の支援者が心のケアについて正しい知識を持ち、利用者の傷ついた心を理解し、適切な対応をしていくことが、利用者自身の自己回復力を支援することになる。そうした力に支えられて、利用者は少しずつ安定した状態に戻っていくことができるのである。
ウ 「心のケア」における事業所の役割は、日常のつながりから信頼感や安心感という視点で、利用者や家族にとって重要なものとなるが、事件・事故の内容によっては、起こった際の「心のケア」に関して、カウンセラー等心理の専門家を含めた支援が必要となる。
2 事業所における平常時の取組
(1)「心のケア」についての事業所内研修実施
ア 事業所においては、メンタルヘルス委員会の指導・助言のもとに、メンタルヘルス委員、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、看護師などが中心となって、年間研修計画に基づき、小グループによる心のケアの研修を数回開催することにより、職員全員が少なくとも必ず年1回は事業所内研修を受講できる仕組みを構築するなどの工夫を図る必要がある。
イ 研修にあたっては、心身の健康調査などアンケート調査結果をどのように活用して、対策を講じていくのか、また利用者や家族へのかかわり方など、具体的・実践的な研修を行っておくとよい。
ウ 研修への積極的な参加など工夫を図ることも大切である。
(2)「心のケア」についての体制整備
ア 日ごろから利用者の心の健康問題について、早期の問題発見や適切な対応が可能となるよう、職員の共通理解とチームワークを図っておくことが大切である。
イ 日ごろから、プライバシーが守れるような相談活動の場を確保し、利用者、家族が安心して相談できる体制作りに留意しておくことが大切である。
(3)利用者の「心のケア」に関する状況の把握について
ア 事業所は、利用者の心のケアに関する情報をあらかじめ収集しておく必要がある。事件・事故が起こった際の「二次被害の防止」に向けて、事前の情報が「リスク回避」につながる重要な視点となることが多い。
イ 担当職員の日ごろからの健康観察はもちろん、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、活動班職員などを中心に全職員が、利用者の心理的状況を具体的に把握し、事件・事故が起こった際に活用できるようにしておくことが重要である。
3 事業所における「心のケア」の実際
(1) 事件・事故に巻き込まれた際の利用者の心のケアの基本的理解
事件・事故が起こった際には、その状況、内容、被害程度などに応じて、直面した利用者の心理的な「恐怖と戦慄」、強いストレスや不安などにより、種々の心身の不調が生じる。そのため、事件・事故の発生直後から、早期に心のケアが必要になる。
このような利用者の状況に適切な対応を行うためには、職員があらかじめ利用者に現れる心身の不調の特徴を十分理解しておくことが大切である。
また、事件・事故の内容によっては、「心のケア」に関して、カウンセラー等心理の専門家を含めた支援が必要な場合もある。
(2)事業所における「心のケア」の目的
ア 被害利用者及び家族への心理的な支援
・被害利用者:急性ストレス反応の解消、PTSDの予防、ストレスマネジメントなど
・家族 :利用者との接し方等の不安解消、家族自身のストレスマネジメントなど
・他の利用者:急性ストレス反応の解消、ストレスマネジメントなど
イ 二次被害の防止
・同様な事故の再発防止(ハイリスクな利用者の確認及びアセスメントおよび個別支援計画の作成など、事業所での中長期支援の確認)
・日常からの利用者理解への意識の向上と実践
・利用者の行動に現れる心理的な背景への理解を深め、その対応を学ぶ研修の実施
ウ 事業所の正常化(機能回復)の為に必要な職員への心理的な支援
・事故当初の利用者及び家族への心理的な支援が可能となる為の支援
・中長期を見込んだ利用者、家族との安定した対応や信頼関係の深まりを築くための支援
・職員が事業所の機能回復に向けた意欲を持てるように、職員自身の心理的安定を図るための支援
(3)事件・事故発生後の主な対応
ア 初期対応(事件・事故発生から2~3日、そして1週間後)
○ 職員の共通理解
・全職員が、事件・事故が起こった際の、利用者や家族の一般的な反応について共通理解する。
(利用者が通常と異なったストレス反応を起こすことは、健康な証拠であること)
○ 利用者の被害状況及びストレス状況の把握
・ストレス反応などは、程度に差はあっても、誰にでも起こりうるものであること、また必ず元の元気な状態に戻ることを利用者などに伝え、安心させることが重要。
○ 利用者や家族への面接
・面接が必要な人のリストアップ
・利用者の面接を行う場合は、基本的に家族に説明と了承を得てから実施し、終了後必ず状況を報告し、対応のアドバイスを行う。
・家族に対するケアが必要な場合は、家族自身のカウンセリングを勧めるより、「専門家から今後の利用者への対応に関する助言を得る」ことを勧めると良い。
・複数の利用者や家族のケアを行う場合は、あらかじめ面接の流れや時間を確認しておく。また、面接は状況に応じて一斉または個別に対応する。
・利用者や家族に今後に関する話をする場合には、選択肢を上げ、自己決定を促すことが大切である。決定が難しい場合は、適切なアドバイスを提供する。
・利用者は、家族や事業所に心配をかけたくなかったり、言いにくかったりして、不安や悩みを抱え込んでしまう可能性がある。専門家による対応も考慮する必要性がある。
○ 支援している職員自身の「心のケア」
・管理職が職員のメンタルヘルスへの配慮を行い、必要な情報提供を行う。
・利用者を支援すべき職員へのサポートであるので、できれば専門家との協力がのぞましい。
イ 中長期支援(事件・事故発生時から1か月以降)
○ 職員による利用者や家族との定期的な面接等の実施
○ 専門家との情報共有と今後の支援協議
○ カウンセラー等による、急性ストレス反応の収束の確認と、外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがある場合の早急な医療機関へのつなぎ
ウ 外傷後ストレス障害[PTSD](事件・事故発生から1か月以後)への理解
外傷後支トレス障害[PTSD]とは、事件・事故後1か月以上経過しても、
次の症状が認められる場合をいう。
事件・事故を持続的に再体験する症状 ○事件・事故のことを思い出すような行動や遊びを繰り返す。
○事件・事故の夢や怖い夢をみる。
○突然事件・事故のことを思い出したり、頭に浮かんできて怖さを感じたりする。
○事件・事故を思い出すような事があると緊張したり、ドキドキ記したりする。
事件・事故と関連した刺激を回避しようとする ○事件・事故のことを思い出したくない。
○事件・事故を受けた場所や状況を回避する。
覚醒したレベルの亢進した状態 ○寝付きにくい。
○かんしゃくを起こしやすい。
○集中しにくい。
○警戒心が強くなる。
○対応のポイント
PTSDには、程度の軽いものから重症まで認められる。心配な場合は精神科医等の専門家と連携して対応する必要があるが、原則的には次の点を守って対応する。
なお、症状が現れたり、一時的に消失したりすることもあり、長時間の観察とケアが必要となる。
・利用者が自ら心配して訴えるときには、時間をとって利用者の話を十分に聞く。
・必ず元の状態になることを利用者に伝え、安心させる。
・利用者に何か気になる行動や情緒的反応が認められても、利用者自身が心配をしていなければ、その問題を積極的に取り上げない。
・遊びと運動を増やし、家族、事業所、地域社会での人間関係を良好にする。
4 心のケアに当たる際の基本的な姿勢
(1) 利用者の心と体に起こること
利用者が自分や他人の生命にかかわるような衝撃的な出来事を体験したり目撃したりした直後には、心と体に色々な反応や症状が出ることがある。
これらは「異常な事態への正常な反応」であり、その多くは一時的なものである。しかし、その出来事が利用者にとって、あまりにつらく、又適切な対応を受けていないと反応が長引いたり、こじらせてしまったりする事がある。
(2)利用者への接し方のポイント
職員や家族が利用者にきちんと向かい合うことが「心のケア」の土台となる。
ア 利用者の話をしっかり聞く
利用者は、何度も同じ話を繰り返すこともあるが、離すことで頭の中が整理されるのである。また、話したがらない、話せない利用者には無理に聞き出そうとせず、「話したくなったらいつでも聞くから」と伝えることが大切である。
イ 正確に情報を伝える
利用者に事実をどの程度、どう伝えるべきかの配慮が必要である。しかし、きちんとした説明がないとうわさ話が広がり、いろいろな想像をさせ、かえって利用者を不安にさせる場合も多い。
ウ 体の症状を訴えている時は、まずは体への手当を
利用者が、「発熱」「体がだるい」などの体の症状を訴えている時は、安易にストレスのせいにせず、体の症状の治療のために病院に連れていくことも大切である。それは、利用者の苦痛を和らげるとともに、手当をしてもらう事で「守られている」という安心感を利用者に与えることになる。
エ 利用者を一人にしないで、そばにいる
小さい子供のように甘え、一人になりたがらない時は、突き放さないで、できるだけそばにいることが大切である。甘えることで心がいやされるので、たいていは徐々に落ち着いてくる。しばらくは幼い子どものつもりで接してみることが必要である。
オ 利用者を叱らない
利用者は、まるで何事もなかったかのように普通にふるまったり、逆にはしゃぎすぎたりするが、これは悲しみやショックを心で受け止めることができずに、それを打ち消そうと利用者なりに必死に抵抗している姿だと認識することが大切である。本当は不安でいっぱいであることがわかれば、「悲しいね」と気持ちを代弁してあげることも必要である。言葉が見つからない時は、手を握ったり、背中をさすったりするなど、優しく接することが利用者の安心につながる。
カ 普段の生活を保つこと
利用者が予期せぬ出来事を体験すると、目に映る世界がそれまでと違って見えてくる。だからこそ、事業所も家庭も可能な限り普段通りの生活になるように配慮する必要がある。食事、睡眠、活動と言ったいつもしている事は無理のない範囲で続けてよい。悲しみを中心にしながらも日常生活を保つことは、利用者自身の回復していく力を低下させないことにつながる。しかし、ショックが強くて日常生活を保つことができないこともあるので、その場合は専門家(カウンセラーや医療機関)に相談する必要がある。
キ 周囲の人(職員)が落ち着く
周りの職員が落ち着いて利用者と接することで、利用者も落ち着きを取り戻していく。しかし、職員が落ち着くということは、自分の気持ちを抑えることではなく、職員であっても涙が出たり感情がこみ上げてきたりする時には、「自分は今こんなふうに感じている」と、利用者にわかる言葉で説明することが大切である。職員が自分の気持ちを抑えつけていると、利用者はそれを真似する事があると理解しておくことが必要である。
第4章 家族、地域、関係機関との連携強化
1 家族、地域との連携強化
(1)開かれた事業所作りを基盤とした防犯体制の構築
社会福祉法人豊徳会は、これまで地域に開かれた施設づくりを目指してきた。一方で事業所への不審者侵入事件を踏まえ、施錠する、受付を行うなど、事業所の安全管理を強化している所である。
しかし、このことによって、これまでの「開かれた事業所作り」を方向転換するのではない。
事業所における利用者の安全確保のためにも、事業所の様々な活動に協力していただける地域住民を積極的に事業所に招き、地域と協働した取り組みを進めることが重要である。
(2)家族、地域との関係づくり
ア 日常的な地域との協働、連携
事業所や法人の行事に地域の人たちを招待する、地域の行事に職員が積極的に参加する、と言った活動が大切である。
イ 地域・家族との情報交換、意見交換
利用者の安全は、事業所だけで守れるわけではない。利用者にとって事業所は生活の一部である。また、事業所自体が地域の中にあり、地域での安全なくして事業所の安全もあり得ない。
事業所・家庭・地域がそれぞれ連携して、利用者の安全性を高めることが必要である。そのためにも、事業所が家族や地域に働きかけて、利用者の安全に関しての意見交換や情報交換を行い、協力体制を築いていくことが大切である。
以上のことは、継続して取り組んでいくことが重要である。
2 関係機関(警察、消防等)との連携
(1)警察との連携
事業所の安全、利用者の安全を実現していくためには、警察との連携を一層密にしていくことが不可欠である。
具体的に、各事業所では、事業所と所轄の警察署との間で、事業所の安全対策や事業所をめぐる防犯、警備の面で密接な意思疎通を図るため、協議会を設置し、定期的に意思疎通の会合を開くなどの取組を行うことが求められる。
また、協議会という場以外においても、日常的に相談したり、情報交換を行なったりすることも大切である。
そうした場を通じ、
① 事業所の実情に応じてパトロールの依頼
② 実践的、効果的な防犯訓練の協力依頼。
③ 地域内での不審者等の情報や事件の情報の共有化
等を行っていく。
(2)消防署との連携
消防署には、防災訓練などを通じ従来から協力をお願いしている所であり、火事や地震といった災害時のみならず、他の場面においても、救急出場など、利用者の安全確保の面で深いつながりがあるため、防犯上の協力も得て、今後とも十分連携していく必要がある。
(3)町役場(地域自治体)との連携
地域防犯の問題や、地域と事業所とのかかわりという問題は、町役場の地域振興課、障害福祉課・連携担当の所管とするところである。
事業所は地域の中で運営されているものであり、また、地域防犯なくしては事業所の防犯も成り立たない。
各事業所は、今後さらに町役場との連携を図っていく必要がある。
3 緊急連絡(警察・救急)の要領
(1)110番通報の要領 例
【110番通報の対応事例】
① 110番警察です。事件ですか?事故ですか?
「不審者の侵入です」
② いつ?
「今!」「5分前!」など
③ どこで?
「田川郡福智町伊方663-1 デイサポートみろくです」
④ 犯人は?
犯人の人数、服装、凶器の有無、車のナンバーなど
⑤ どうなっていますか?
けが人はいないか、被害者はどうしているかなど
⑥ あなたは?
通報者の氏名、電話番号など
※通報の際、自身の身の安全を確保し、不用意に不審者に近づかないようにする。
(2)119番通報の要領
① 種類 救急です
② 場所 住所は福智町伊方663-1、デイサポートみろくです
近くの目標は、みろく園があります
③ 通報者 私はデイサポートみろくの○○です
電話番号は22-6055です
④ 被害状況 負傷者は○人です
負傷者の容態は○○の状態です
※負傷者の状態を聞かれたら簡潔に伝える。